「こんな便利なものないわね。楽しくて! 世界が変わっちゃったのよ」
そして必ず付け足す。「ちょっと高かったけどさ」。何度も言う「ちょっと高かった」。壽賀子、スマホの値段がお気に召さないのな。
あれよあれよとスマホの使い方をマスターした五月は、料理チャンネル「さつキッチン」で、ユーチューバーデビュー。
撮影用スマホスタンドも完備し、「幸楽」名物メニュー・炒飯(チャーハン)やかに玉などの作り方を、自ら発信する(ちなみに実際TBS公式YouTubeに動画あり)。
動画をアップすれば、コメントがもらえる。「スマホがあれば会いに行かなくたって、友だちがたくさんできる」と、すぅっかり元気を取り戻す五月。
嫁姑(しゅうとめ)問題のイライラや、自分の老いへの不安、さびしさを、スマホで解消する。それが令和初の「渡鬼」。94歳・壽賀子の「今」感恐るべし。
今後は「さつキッチン」にクソコメントが書き込まれて炎上したり、フェイクニュースにうっかり引っかかったり、「渡るウェブは鬼ばかり」な展開? つまり「世間」とは、もはやネットの世界のことなのだ。
※週刊朝日 2019年10月4日号