強風で駅舎の屋根が大きくめくれ上がったJR東千葉駅=9月9日 (c)朝日新聞社
強風で駅舎の屋根が大きくめくれ上がったJR東千葉駅=9月9日 (c)朝日新聞社
歩道に倒れ込んだ街路樹=東京都中央区、(撮影・多田敏男)
歩道に倒れ込んだ街路樹=東京都中央区、(撮影・多田敏男)

 強い台風15号が関東地方に9月9日上陸した。首都圏を襲ったものとしては「過去最強クラス」と言われ、鉄道やバスは軒並み運休し、強風で街路樹が倒れ道路をふさいだ。交通は大混乱し、月曜日の通勤・通学客を直撃。駅で待たされたり、移動に時間がかかったりして、出社時間に間に合わない人が続出した。

【写真】歩道に倒れ込んだ街路樹

 台風でも定時出社しようとするのは日本人ならではと言えそうだが、いったん交通が混乱すると影響が深刻になる大都市のもろさを示した。

 JR東日本や私鉄などは台風を想定して、「計画運休」を実施。JR東日本は首都圏のすべての在来線で9日の始発から午前8時ごろまで運転を見合わせると、前日の8日に発表していた。

 予定通り午前8時ごろに運転を再開できた路線もあったが、飛んできたものや倒木が線路に入り込み、再開が遅れる路線が相次いだ。

 東京の大動脈の山手線は品川―大崎駅間で木が線路に倒れ、運転再開は午前10時15分ごろとなった。京浜東北線も竹が倒れるなどの影響で、運休が長引いた。ダイヤが混乱し一部の駅では人があふれ、入場規制を実施した。横須賀線は土砂崩れもあって、運転を見合わせた。

 JR東日本のホームページには、運行情報などを確かめようとアクセスが集中したため、一時つながりにくくなった。

「計画運休を発表し台風に備えました。運転再開には被害状況の確認が必要で、どうしても時間がかかるところがでてきます。ホームページもつながりにくくなり、ご迷惑をおかけしました」(広報担当者)

 私鉄も東急や小田急、京王や東武などほとんどで、始発から運転を取りやめた。地下鉄は比較的影響が少なかったが、多くの路線で私鉄との直通運転ができず、運行本数も大幅に減った。小田急で都心に向かった女性はこういう。

「駅に人があふれ電車が到着しても、乗れませんでした。3本ぐらいやり過ごしてやっと乗れましたが、社内は満員で大変でした」

 混雑する鉄道やバスをあきらめ、タクシーで通勤しようとする人もいたが、こちらも乗り場には長蛇の列ができた。空車は見つけにくく、歩いて職場に向かう人の姿も見られた。

 人口が集中する首都圏では公共交通機関が発達している。通勤・通学の規模が大きく、遠くから通っている人もいるため、交通網がマヒすると大混乱に陥ってしまう。災害に対する都市機能の弱さを改めて示した。

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観測史上1位の強風が吹き荒れた