ああでも、そう悲観するほど悪くはない人生だよと、48歳の私は教えてあげたい。日本は女に厳しく、なかなか変われない。それでも闘うおばあさんたちの声が、あなたの人生を変える。怒りながらも、あなたは女性たちの声の波に、守られ続けるから大丈夫だよと。

 28年前の自分と対話するように、水曜デモの場に立っていた。水曜デモは27年前の真冬、数人で始まった。今、2万人以上が炎天下に集まっている。その意味に追いつきたいと願った。

 帰りのタクシー、咳をしたら運転手さんが飴をくれた。「日本が好きですよ」と日本語で言うので「韓国が好きです」と韓国語で言うと「同じですね」と笑ってくれた。

 タクシードライバーと、何かを確かめるようにつたない言葉を交わして笑ったり泣いたり。もしかしたら感傷的すぎるかもしれない。未来は暗く、私は人生を後悔するのかもしれない。でも今は、抗うべきものに抗う声のそばにいたいのだと思う。死者の魂が戻る真夏なのだし。

週刊朝日  2019年9月6日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?