自分の優位性ばかりを誇示する人間は、“ひとりぼっち”一直線! 「ぼっち老人クライシス」という言葉を作ってみました。ライフジャーナリストの赤根千鶴子氏が、老後ぼっちの危機回避策を探ります。
【画像】“ひとりぼっち”一直線!この3つがそろうと「上から目線」に…
「自分の人生を、職業上の役割に封じ込めるような生き方は早めに軌道修正したほうがいいと思います」と『「上から目線」の構造』『50歳からのむなしさの心理学』の著者で心理学者の榎本博明さんは言う。
多くの人が職場では「序列」の中に放り込まれているが、誰がその部署の「長」をつとめるか、誰がそれらすべての部署を束ねる「長」になるか、などということはあくまで職場での役割上、決められているだけ。自分の役職が半永久的にどこでも通用すると思ったら大間違いだからだ。
「人生は『単線』ではなく『複線』。そう考えて、仕事を抜きにした人間関係もきちんと築き上げていくことが大切です。理想を言えば、50歳くらいから始めておくのが一番なのですが」(榎本さん)
また定年後も働き続けるのであれば、若いうちから自分より年若き世代との接し方に気を付けることだ。『職場の紛争学』の著者で人事コンサルタントの各務晶久さんは言う。
「世代間ギャップというのは、いつの時代にも必ず職場にあるものです。人は皆対等という『ゆとり教育』を受けて育った20代は叱られ慣れていませんし、いまは若い世代になればなるほどマウンティングには敏感です。親切心からのアドバイスでも、若い世代は“熟練者と未熟者”という上下関係を感じ取り、上から目線と感じるのですから」
“アドバイス”などという「上から目線」ではなく、「問題解決」という姿勢で「『何か困ってるの?』と声をかけることから始めることが大事」(同)。そして部下や同僚が失敗したとき、個人の性質や能力を否定する言葉を言わないようにすることも大切だ。「『うっかりしているから』『忘れっぽいから』『注意力が足りないから』などと失敗の原因を個人の能力のせいにすれば、相手は傷つくだけ。『検討が不十分だったね』等、プロセスを議論することはOKですが、『上から目線』で指摘するのではなく、『なぜこうなったと思う?』と、相手に自分自身で気付かせるコーチングスタイルをとることが重要です」(同)