預貯金額などによって決まってしまう場合もあるが、エリアは「自宅近く」「家族の近く」といった希望が多いという。
ほかにも、「終のすみかは海のそばで」など、夢を実現するため、地縁のないエリアの施設にIターン的に入居するケースもある。ただし、軽い気持ちで、知らない土地の施設を選んでしまうのはリスクもある。
「地元の人が入居する施設が多いので、ほかの土地から来た人は方言がわからず孤立したり、食べ物の味付けの好みが違ったりと、想定していなかった苦労を強いられることも少なくありません」(前出・太田さん)
続いて「生活習慣」。とくに自立の人の場合は、「自宅にいるようにプライバシーを守れる」ことを最優先の条件にする人もいれば、いつでも誰かと交流できる、家族的な施設を希望する人もいる。このほか「好きなお風呂にいつでも好きなときに入れる」ことを一番に考える人などもいて、人によってさまざまだ。
プライバシーの有無は設備や規則などと大きく関わるため、事前に直接問い合わせたり、見学のときに詳しくチェックしたりするのが一番の早道だ。かたや施設の雰囲気は、資料や問い合わせなどでは計り知れないこともある。
「自立した元気な入居者が多いのか、病状の重い人が多いのか。また病状が進んだ人と自立の人をフロアで分けているかなど、見学時に気をつけて見ていると、ある程度の雰囲気はつかめます」(前出・菊池さん)
また、見学のときには必ず、掲示板のチェックを。施設で実施するレクリエーションの日程が貼ってある。毎日のように、何かしらのイベントをやっている施設もあり、入居者のコミュニケーションや趣味を熱心にバックアップする施設かどうかを測る物差しになる。
医療サポートは、ホームによってできることの幅が大きい。昼食時に見学に訪れて、胃ろう、インスリン注射などの医療サポートを受けている入居者の有無から、施設の構造や職員、入居者の様子まで、目で見て確認するのが確実だ。
「いつでも外の空気と緑に触れられるベランダガーデンがあるか」「胃ろうの患者でも、靴を履いて食堂で食事をしているか」など、医療ケアに強いホームを見分けるポイントもチェックしたい(下記)。