「お浜さん」の誕生によって、10年近く続いた昭和釜と平成釜の睨み合いにも終止符が打たれたと言われています。昭和釜と平成釜の架橋役でもあった安室ちゃんは、その様子をしかと見届け、颯爽と引退していきました。
そして現在。テレビに出れば「劣化!」と騒がれ、胸の谷間を見せれば「平成か!」と言われるお浜さん。この度出版された自伝的小説も「暴露本だ!」だの「青春返せ!」だのと、とにかく散々な言われ様。しかしそれは間違いなく世間が浜崎あゆみと共に時代を生きたという証でもあります。
ならばどうして世間は浜崎あゆみに厳しいか。理由は明確です。自分のことを「あゆ」と呼ぶから。この一点に尽きるでしょう。40を過ぎても尚、自らを「あゆ呼び」。そんな女に向かって「あゆー!」と呼びかけるほど優しい世の中ではありません。ならば私といっしょに「お浜さん!」と呼んでみませんか? 彼女の自己陶酔感も過分な下世話さも煩悩まみれなところも、すべて「お浜さん」として観れば喉越しが良くなるはずです。積年の胃もたれも解消されますよ。
※週刊朝日 2019年8月16日‐23日合併号
【週刊朝日編集部からのお知らせ】
いつも『アイドルを性(さが)せ!』をご愛読くださり、ありがとうございます。この連載は2016年5月から週刊朝日で始まりましたが、このたび書籍化して、単行本『熱視線』(本体価格1400円)として発売されました。連載の内容を大幅に加筆修正し、ミッツさんご自身が描いているアイドルの似顔絵(AERA dotでは未掲載)も収載しています。装丁にもこだわりました。毒と愛を込めて作った一冊です。ぜひ、紙の本でじっくり味わってお楽しみください!