ヒロシ:そうです。たぶんあまりモテない性格をしてるんです。高校生のときにみんな彼女ができたりして初体験するじゃないですか。僕は高校のとき童貞でしたからね。大学のときが初めてでした。
林:今、それが一般的じゃないですか。
ヒロシ:いや、僕はけっこう幼いときから「モテたい欲」が強くて、もっと早く体験したかったんです。
林:中学生ぐらいで体験して、自慢したかったんだ。
ヒロシ:そうです。幼稚園から意識してました。それに振り回される人生といいますか。
林:モテたいがために宗教にまで入っちゃうって笑っちゃいましたよ。ちょっと可愛くて純情そうな女性が勧誘してるから、本部に行けばもっと可愛い子がいるだろうと思って。
ヒロシ:そうです、そうです。林さんは宗教的なことは……。
林:私も勧誘されると入っちゃうタイプです(笑)。若いとき友達に「関西のほうの本部で大会があるから行こうよ」って誘われて、行って横断幕持って行進したりして。
ヒロシ:僕もプラカード持たされました。
林:でも、けっこう楽しかった。クラブ活動みたいな感じで。
ヒロシ:僕もガッツリと活動してるわけじゃなかったんですけど、今となってはいい思い出ですかね。僕が一時期入っていた某宗教も、本部が関西のほうにあって……。
林:ねえ、もしかしてそれ、「○※×△」という宗教団体じゃない?
ヒロシ:そうです。
林:えっ、私と同じところじゃない! やだぁ~、こんなつながりがあるとは(笑)。
ヒロシ:すごい偶然ですね……。林さんは今も?
林:まさか、違います。でも私、100万円寄付しちゃった。お金借りて。
ヒロシ:僕よりエゲツないことされてますね。
林:世話役の人が「100万円出したら人生変わるよ」って言うから、ほんとに変わるか知りたくて……。
ヒロシ:実は僕、今日お会いするんで、林さんのウィキペディアを見させてもらったんです。そしたらその宗教の文字があったので、「オッ」と思って、正直ちょっと警戒したんです。
林:それは20代のときの話で、おもしろい体験だなと思って、そのあとそれをネタに小説(『紫色の場所』)を書いたんです。
ヒロシ:なるほどね。そういうことだったんですか。
(構成:/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2019年8月16日‐23日合併号より抜粋