第101回全国高校野球選手権大会第7日(12日)で、5年ぶりに出場の海星(長崎)が3―2で聖光学院(福島)に競り勝ち、17年ぶりの夏の勝利を手にした。走攻守に持ち味を発揮したが、13年連続出場の相手に見せた、ある冷静なプレーが試合の流れを変えた。
先制点は「足」で奪った。四回表、2死走者なしから4番・高谷艦太が中越え二塁打を放つと、5番・坂本芽玖理が左前安打で続いた。
このとき、聖光学院の左翼手は浅い位置で守っていた。通常なら走者を三塁で止めるところだが、三塁コーチの宮原真弥は腕を回していた。
「先制点(を狙えるところ)だったので、アウトになったとしても、ホームまで走っていくというのが大事。チームで徹底していることです。甲子園ということもあって、レフトのミスもありうると思いました」(宮原)
高谷が減速することなく三塁を蹴ると、焦った左翼手の送球は中継の遊撃手の前で2バウンド。二塁走者・高谷が本塁を陥れた。
守備の見せ場は五回裏だった。先発の柴田連人は4、5番を凡打に仕留めた後に2連打を浴び、2死一、三塁のピンチを背負った。そして8番・片山敬に三塁線へ強烈な当たりを打たれた。
だが、主将で三塁手の坂本がひざをつきながら好捕。すぐさま一塁へ送球し、失点を防いだ。
「あそこの1点をやるとやらないとでは(試合展開が)ちがったと思う。アウトにできたのでうれしいです」(坂本)
この好守が追加点を呼び込んだ。
六回表1死走者なしで、打席に立ったのは2番・大串祐貴。前の2打席は凡退していたが、長崎大会でチームが放った長打20本中、本塁打1本を含む7本を放った強打者だ。
この打席では途中で狙い球を変えた、と振り返る。
「変化球が来ると思ってたんですけど……。ストレートが一番確率が高かったので、一か八かの賭けだったんですが、ストレートに張っていました」
カウント2―2からの直球を一本足打法で振り抜くと、打球は右翼席へ飛び込んだ。
「ちょっと詰まり気味だったんですけど、いい角度で飛んでくれたんじゃないかと思います。(本塁打は)目標に挙げていたことなので、達成できてうれしいです」
九回にも敵失を足がかりに犠飛で1点を追加し、逃げ切った。