ここ数年、大学入試は「激変期」にある。大都市部の人気私立大学は、国の政策によって門戸を縮小。その影響で2019年は受験生が地滑り的に中堅以下の私立大に殺到し、一気に難関化した。来たる2020年の入試はどうなるのか。最新予測をお届けする。
摂神追桃(摂南・神戸学院・追手門学院・桃山学院)の志願者数は18年、19年と急上昇。それに対して19年の合格者数はガクンと減っている。合格者を絞り込んでいるうえに志願者数が増えているのだから、難易度が上がるのは当然だ。駒澤大、亜細亜大、帝京大も、合格者の絞り込みが顕著だったとされている。
その一方、難関大学は不合格を恐れて敬遠する受験生が増加。志願者数が減少している。
19年入試は、早慶上智で対前年指数95、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)で96、関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)で96と、いずれも前年を下回っている。大学ごとにみると、上回っているのは中央大と関西大しかない。この3グループの志願者数は18年の入試まで増加してきたが、19年はそろって減少。逆に合格者は横ばいまたは微増に転じている。学力にもよるのだが、上位大学のほうが競争率だけをみれば合格しやすかったとすら言えそうだ。
そのあおりで困った現象も起きたとベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の渡邉慧信さんは言う。
「第1志望の大学や1ランク下で合格する受験生が増えると、併願の中堅大学は辞退者が増加するので、追加合格を出すことになります。いったんは不合格だったのに、3月末に電話で合格を告げられ、すぐに入学の意思決定を求められるというケースもあります。この傾向は18年もありましたが、19年はより顕著になっています。追加合格は予測がつかないので、受験生が混乱することになりました。それだけに合格した場合の入学優先順位をしっかりと固めておくことも重要です」
こうした厳しい状況が続いてきたため、一般入試が始まる以前に、AOや推薦入試で合格を早めに確保しようとする動きも活発になってきたという。