「16年にセンター試験が新課程になったのですが、このときもかなり浪人生が減りました。新テストはそれよりも大きな話題になっていますからね。河合塾の第1回全統マーク模試でも、18年実施時は早慶上理、MARCHで志望者数が1割減でした。ところが、19年は日東駒専レベルも約1割減。つまり、受験生が志望ランクをさらに下げつつあるわけです」(鈴木さん)

 逆に言えば、中堅私大に人気が集まる一方、敬遠されるMARCHクラスがむしろ“穴場”となり、狙いやすくなる可能性がある。

「河合塾では偏差値を2.5ピッチでランクしており、2ランク下がA判定(合格可能性80%)です。たとえば自分の偏差値が60なら、55以下がA判定の合格圏となります。確実に合格をめざすなら、このレベルの大学を2、3校受けておこうというのが一般的でした。20年入試は19年入試並みの合格者が維持されるものと予測されますが、志願者が増加して倍率が上昇する大学が出てくることも十分考えられます。文系だけでなく理系も同様です」(同)

 厳しい受験状況が続きそうだが、「だからといって安易な妥協は禁物」と、鈴木さんはくぎを刺す。

「すでに19年入試でも、合格したのはいいけれど、その大学に満足できずに予備校に戻ってくる学生が以前よりも増えているので要注意です」

 そのうえで、来年の受験生にこうアドバイスする。

「学力は簡単に伸びないので不安に駆られることもあるでしょうが、早くから安易に志望を下げてはいけない。高い第1志望をめざして頑張るからこそ、第2志望に合格できる。大学受験は人生の大きな岐路のひとつ。不安だからとあきらめず、臆することなく果敢にチャレンジしてほしい。それでも早めの合格は受験生には心強いので、国公立志望でも、私立大学のセンター試験利用入試はぜひ活用してほしい。第1志望にこだわりながら幅を広げた併願が、一般的ではありますがやはり王道です」

(ライター・笠木恵司)

週刊朝日  2019年8月9日号

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