セカンド・サイド/ブランディ・ディスターヘフト
セカンド・サイド/ブランディ・ディスターヘフト
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ゲスト・ヴォーカリストも魅力的なカナダの若手女性ベーシストの2作目
Second Side / Brandi Disterheft

 カナダの若手女性ベーシストである。まずこのCDを入手するまでのプロセスを紹介したい。

 昨年6月、カナダの《バンクーバー・ジャズ・フェスティヴァル》から招待を受けて、取材をした。同祭はコンサート・ホールから小規模のクラブまでのインドア会場と、無料の野外ステージで開催。バンクーバー発祥の地で、現在は観光名所となっているギャスタウンでのフリー・ライヴで観たのがブランディ・ディスターヘフトである。トランペット&テナーを含むクインテットのリーダーとして、ウッドベースでバンドを牽引する力強い演奏を披露。ヴォーカルもこなす才能にエスペランサ・スポルディングが重なり、新星との出会いを嬉しく思った。

 帰国後、2007年の初リーダー作『デビュー』を入手し、作曲センスを合わせた総合的な実力を確認できた。その時に第2弾が2009年秋にリリースされるとアナウンスされ、ぼくの中での期待が高まっていた。ブランディのHPにも情報がアップされたので、ほどなく輸入盤が日本の店頭に並ぶものだと思っていたが、いつまで経ってもその気配がない。カナダ・アマゾンでは販売中だったので注文しようかと思ったが、送料の高さに断念した。

 そして今年4月、ようやくHMVオンラインにアップされて、すぐに注文。ところがここからがまた長かった。数度の入荷延長を重ねて拙宅に届いたのは、季節がすでに秋を迎えた9月下旬。実に5ヵ月を要したのである。カナダでの発売から1年が経っていた。

 自身のオリジナル曲を中心とした構成と、トランペット、テナー、ヴォーカルを加えた楽器編成は前作と同様。ただしホーンズを増員し、パーカッションが加わった曲もある。

 ゲスト・ヴォーカリストはホリー・コール、ラニー・リーの代表的カナディアンに格上げされ、ブランディ本人が2曲で歌うのも新味だ。何よりヴァラエティ豊かなプログラムが、前作から大きく飛躍したことを印象付けられる。

 #1は曲名が「スケッチ」つながりであることを含めて、マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』収録曲<フラメンコ・スケッチ>を参照したことは間違いなく、その挑戦意識を帯びた書法を評価したい。あるいはポール・チェンバースへのオマージュかもしれないが。ポップなフランス語歌唱の#2では雰囲気を反転させ、カリンバ演奏の#3へ続き、小悪魔的な微香をふりまくベース&ヴォーカル曲の#4へと展開。50年代のブルーノートからビヨークまでを好むブランディの幅広い音楽性が楽しめる仕上がりだ。

【収録曲一覧】
1. Sketches Of Belief
2. Combien De Chances
3. Second Dawn
4. Twilight Curtain
5. My Only Friends Are The Pigeons
6. He’s Walkin’
7. Dawn
8. Liege
9. A Night In Haiti
10. Let Her Shine
11. This Time The Dreams On Me

ブランディ・ディスターヘフト:Brandi Disterheft(b,vo,kalimba) (allmusic.comへリンクします)
ホリー・コール:Holly Cole(vo)
ラニー・リー:Ranee Lee(vo)

2009年作品

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