――ソロでのアコースティックコンサートを、東京と名古屋、大阪で開催する。普段は標準語を使うが、実は関西に帰ると一瞬で関西弁に切り替わる。
昔、新幹線の中で「関西弁って嫌いなんだよね」って話してたのが耳に入ってきて。そんなことで嫌われたら全国区でやってらんないと思って、帰ったときしか使わないと決めたんです。関西に帰ったときのステージでは、「毎度!」って(笑)。お客さんも、すごくうれしいみたいですね、こっちだけなんだと。ステージではウケたいと思ってしまう。やっぱり大阪人なんですね(笑)。
お客さんみんなが、よかったね、楽しかったねって思ってもらうまでやりたい。いま、アリスとソロでのステージを並行してやっていますが、切り替えはすぐできます。それも言葉と同じなんでしょうね。
今回はこの曲をアコースティックでやったらどうなるんだろうっていう選曲にしています。もちろんなじみのある曲もちりばめて。アリスとソロ、両方見ると、全然違うんだって楽しいと思いますよ。
どこにも属さない歌手というのでしょうか。演歌もフォークも歌えば、たとえばビリー・ジョエルも歌ったりする。僕の中では全部等しいんです。僕は、歌手の中での「俳優」になれたらと思うんです。その曲ごとに、演じるというのでしょうか。僕が昔出したアルバムを聞いていただけると、実はストレートな歌謡曲は10曲中シングルの1曲で、あとはいろんな曲調でやっていることがわかります。他の9曲を自由に「演じる」のです。
――6度目の再始動のアリスの全国ツアーは、来年2月まで続く。
いまもお互い突っ張ってやってます。ひょっとしたら意地の張り合いでやり続けてるのかもしれません(笑)。ただ、そんなアリスは僕らの母艦です。維持させるには、自分ががんばらないといけない。それは、ほかの2人もきっと同じ。そして、そういう僕らを温かい目で見てくれるお客さんたちがいる、という幸福がある。
毎回言ってるんですよ、「これで最後だからね」って(笑)。次の区切りがあるとしたら、今度は喜寿、77歳でしょ。みんなベッドに横たわって、点滴つないで出てきたりしてね。そのころには、きっと3人とも突っ張ることもなくやれるんじゃないでしょうか。
(聞き手/本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2019年7月26日号