2019年3月期決算の発表が終わったが、腑に落ちない話が三つあった。
一つ目は、東京商工リサーチの調査。上場企業で1億円以上の役員報酬を得た「1億円プレーヤー」の数が564人と、過去最多だったというニュースだ。グローバル競争に勝ち抜くための人材確保が目的という。
しかし、彼らは本当に「グローバル」な競争力があるのだろうか。欧米の役員報酬はかなり高いので、外国から優秀な人材を招けば、報酬が高くなるのはわかる。他方、日本人の1億円プレーヤーの報酬を大幅にカットしても、その人が海外企業に引き抜かれる心配などない。単に外国人の報酬につられて、日本人の役員報酬バブルが生じているだけではないのか。
二つ目は、西川廣人日産社長の報酬が何と4億400万円という話だ。日産は、度重なる車両検査不正に加え、ゴーン前会長のとんでもない不祥事を事実上黙認していたという「スキャンダル企業」だ。しかも、日産の業績は悪く、将来見通しも暗い。株主から見れば、その最高責任者である西川社長はA級戦犯。なのに、4億円?と疑問符がつく。トヨタの豊田章男社長の報酬3億8600万円と比べても理解不能としか言えない。
不祥事企業といえば、経団連会長会社で日本を代表する大企業、日立製作所もその仲間だ。技能実習生をめぐる不正で勧告などを受けたと報じられたが、働く人の人権をないがしろにするあるまじき行為だ。その日立の1億円プレーヤーは、何と17人。開いた口が塞がらなかった。