西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、交流戦で優勝したソフトバンクの強さを語る。
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交流戦はソフトバンクが優勝した。15年目を迎えた交流戦で8度目の優勝(最高勝率含む)だ。
「何でこんなに強いのか」という問いに「戦力の厚さの違い」と言われれば、それまでだろう。しかし、今回の交流戦では、野手では柳田悠岐や中村晃がいない。投手でもサファテがおらず、森も離脱した。それにとって代わった選手が活躍する状況を作り上げていることがすごい。
3軍制を敷いて、育成を計画的に行い、育った選手は実力至上主義で起用する。選手間の激しい競争の中で数少ないチャンスを生かすしかない。結果を出せば必ず使う。その繰り返しで、選手は年間を通じて準備するようになる。そういった組織力の強さがあるから、毎年安定して勝ち続ける要因となっている。
投手では左腕の大竹、サブマリンの高橋礼といった若手投手がエースの千賀を支え、巨人との優勝がかかった3連戦ではベテランの福田が活躍した。勝ったほうが優勝という6月23日の試合では、福田はプロ13年目で初めて「二塁でのスタメン」となった。全ての球団が選手に複数ポジションの練習を行わせているが、大事な試合で、迷いなく先発起用できるチームはなかなかないよね。
工藤監督は就任当初から「野手はいろいろなポジションを守れるようにしていく。その点は意識している」と話していた。そうしないとソフトバンクでは試合に出られない。非常事態が起きても、起用した選手が一定のプレーをしていれば、我慢して白星を積み重ねられる。これで戦力が戻ってくれば、また連勝できるようになる。
ただ、今年の交流戦は特にパ・リーグの下位球団が頑張った。最下位のオリックスが交流戦で巻き返した。リーグ戦の再開前の時点で首位のソフトバンクまで7ゲーム差しかない。7月終了時点で勝率5割前後につけていれば、8月以降にクライマックスシリーズ圏内となるAクラス争いは最低限できる。6チームすべてが可能性を残した状態で夏の戦いに向かうから楽しみだ。