私は資産運用のセミナーでは95歳までの人生設計を考えるべきだと伝えています。多くの方は平均余命を見て80代半ばを想定されているようです。しかし、これはかなり危険な計画です。平均余命は大雑把に言えば半分の方が亡くなる年齢ですから、半分の方はそれ以降も生きている年齢なのです。
ちなみに、現在の60歳男性の2割が生きていると推計される年齢は91歳、女性は96歳です。ちょっと冷たい表現ですが、生存確率20%で考えると「夫婦で95歳」が妥当なところだと思っています。その年齢をゴールにいかに退職後の年数を減らせるか。65歳まで働ければ30年、70歳まで働けば25年間が退職後の生活年数といえます。
年齢で働き方を強制的に区切られることには違和感を感じます。個人的にはまだまだ現役で十分働ける60歳で、これからの5年、10年の働き方のルールを決めることができる「60歳定年制」は悪いものではありません。前向きに考えてみたいと思います。
※週刊朝日 2019年7月5日号