「粉食」とは、パンやラーメン、うどんなど粉製品を好んで主食にすること。調理が手軽なので、粉食をとることが多い高齢者も多いかもしれない。
でも、服部さんは警鐘を鳴らす。
「かむ回数が少なくなれば、かむ力も弱くなる。できるだけ避けるべきです」
かむことは、脳の血流を高め、記憶力や思考力アップにもつながるだけでなく、満腹感も高まる。高齢者は特にこの「粉食」を避けたほうがいいそうだ。
最後は「濃食」。味の濃いものを食べ続けると砂糖や塩だけでなく、食品添加物の長期摂取にもなる。
「舌が鈍感になり、お米や野菜などのほのかな甘みが認識できなくなります」
調理済みの総菜を購入するのであれば、手作りの定食屋でテイクアウトするほうが良い、と提案する。さらに良いのはその店内でいただくこと。会話が生まれるからだという。
一般常識の8割は共に囲む食卓から学ぶものと考えられている、と服部さん。
「そもそも食卓(共食)は、マナーや生き方などを教わり、栄養バランスを考えながら食べる知識を養う場なんです。そういう場が失われつつあることを、本当に残念に思っています」
食育基本法が2005年にできたが、個々の食生活はどれほど豊かになっただろう。服部さんの提言にふれ、日頃の食のありようを見直してみてはどうだろうか。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2019年6月27日号