「先日も、千葉県にお住まいの方が見学に来られました。ペットと一緒に入れるお墓は、まだ全国的に少ないのではないでしょうか」

 なぜ増設が進まないのか。「いくつかの理由がある」と、鵜飼さんは指摘する。

 一つは「墓地埋葬法」の問題だ。この第1条には、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする」と書かれている。

「問題になるのは、『国民の宗教的感情』と『公衆衛生』の部分です。感情面では当然、犬が嫌いで『同じ墓地に埋葬してほしくない』という方もいます。また、動物の骨は法律的には廃棄物ですから、それを墓に入れるのは衛生上問題があるという見方もできる。そのためペットの埋葬を避ける墓地や霊園は多い」

 仏教の宗派によっても賛否は分かれる。例えば、天台宗や真言宗などは、動物であっても皆「仏性(ぶっしょう)」(仏になれる本性)を持っており死後、すぐに成仏できると考える。

 一方で浄土系では、阿弥陀仏に帰依し、念仏を唱えることで、往生・成仏できると考える。そのため、念仏を唱えられない動物は、死後すぐには成仏できないという見方が存在する。

 また、死後の世界の六道では、ペットは人間道よりも下位の「畜生道」に位置する。だから、人間と一緒に埋葬するのは適切ではないという意見もある。

「仏教界でも見解はさまざま。なので、ペットと同じお墓に入りたい方は、まずは近隣の寺や霊園に相談してみてはいかがでしょうか」

 では具体的に、どのようにお墓を探せばいいのか。

 東京都中央区に本社を置く株式会社鎌倉新書では、03年から全国の墓地や霊園を検索できるポータルサイト「いいお墓」の運営を開始した。サイトでは、各墓地の設備、広さ、価格、所在地のほか、実際に購入した人の口コミなどを無料で閲覧できる。お墓の購入に関する相談件数は、年間約14万件にも上るそうだ。

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