聞き返すことが増えた、反応が遅くなった、探し物が多い……若いときは違う異変を感じることもあるはずだ。そんな脳の老化のサインを感じたら、早めの対処が必要になってくる。毎日の食生活でできる認知症予防法を紹介する。ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏が専門家に聞いた。
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食生活の上では、脳のためにどんなことに気をつかっていけばいいのだろうか。
「脳を活性化するには良質なたんぱく質を毎日摂取していくことが重要です。アミノ酸はたんぱく質を構成する物質ですが、卵としじみは必須アミノ酸がバランスよく含まれていて、プロテインスコア100の食材です。卵は毎日1個以上。できれば毎日2個は食べてほしいと思います」
卵を食べるときは、半熟の状態がいいと認知症予防医の広川慶裕医師は言う。生卵だと、白身に含まれる「アビジン」という物質がビタミンの吸収を阻害する恐れがあるからだ。卵を加熱して白身が透明から白っぽい色に変われば「アビジン」の活性は失われるという。
「しかし黄身までしっかり熱を通してしまうと、黄身の栄養素が一部、変わってしまいます。一番おすすめなのは、白身は白色でプルンとやわらかく、黄身はトロンとした半熟の状態で食べることです」
しじみは味噌汁にしてもいいが、葉物野菜との蒸し煮にしたり、佃煮などにして食べてもいい。しじみに含まれているオルニチンは脳の活性化に欠かせない。またしじみに多く含まれているビタミンBは脳内の神経回路を修復し、脳機能の維持にも役立つ。そこで管理栄養士の牧野直子さんに、半熟卵やしじみを使った簡単おかずの提案をしてもらった。
「半熟卵、つまり温泉卵は実は電子レンジで簡単に作れます。電子レンジ対応の小さな器(*口がすぼまっていないもの)に生卵を入れ、そこにかぶるくらいの水を入れ、楊枝などで黄身に1カ所穴をあけてください。そしてラップをかけないで500ワットで1分電子レンジにかければ、すぐにトロトロの温泉卵のできあがりです」