番組スタッフを交えてのガールズトークに時折お邪魔する。ユーミンのファッションが殊(こと)の外楽しく(ツツジの映える季節には、なんとピンヒールが一本生えた真紅のバッグを抱えていた!)、アバンギャルドなそのセンスに仰天し、思わず歓声をあげてしまう。
武道館のコンサートも終盤近くになり、麻美さんがしくしく泣き始めた。正隆さんをユーミンがステージに呼び、彼の伴奏で『卒業写真』を披露したラストのサプライズで、とうとう両手で顔を覆ってしまった。
「私は14歳で作曲家としてデビューしました。だから、曲を作ることはいつまでも忘れないでいたい。みんなが私の作品を知ってくれていると気づいたのは、ほんの最近のこと。これからも聴いてほしい曲は沢山あるし、ショーのアイディアも沢山あります」
そう言ってユーミンは千穐楽、満員総立ちのステージでマイクを置いた。
終演後、多くの関係者に紛れるように、麻美さんは楽屋の片隅でユーミンを待っていた。TVカメラも入っていたが、撮影が終わるとユーミンは彼女を見つけ、その場で強く抱きしめた。
※週刊朝日 2019年6月7日号