「小沢(カーンさんの本名)、俺はお前の人間性を信じている。そんなことをやる人間じゃない。頑張れ」
短い会話だったが、この言葉に「涙が止まらないほど感激した」とカーンさん。
「誰かから窮状を聞いたんでしょうね。あの電話がなかったら、本当に死を選んでいたかもしれません」
時間はかかったが、昨年夏にはうつ病から脱出。プロレス時代の思い出を語るトークイベントを再開し、飲食店の再オープンも視野に入れる。
「接客しながら体を動かしたり歌ったりが好きなんです。世代的に話が合うシルバーエイジを対象にした演歌や歌謡曲専門のカラオケスナックをやるつもり。近々、正式に公表できると思います」
今は一人暮らしだが、米フロリダ州には長らく別居中の妻と2女1男が住んでいる。
「家族とは、もう38年ほど会ってないけど、長女は3年前に初孫となる男の子を授かりました。電話ではよく話していて、『フロリダで一緒に住もう』と誘われるんです。でも米国には公的医療保険制度がないから、医療費が高すぎておちおち医者にもかかれません。俺みたいにプロレスの後遺症であちこちにガタがきてたり、何度も癌の手術してる人にはリスクが高すぎる。だから次の店が順調にいったら、女房を日本に呼ぼうかなって思ってるんですよ」
長かった冬の時代。カーンさんの“春”はもうすぐそこだ。
(高鍬真之)
※週刊朝日オリジナル記事