カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
イラスト/カトリーヌあやこ
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「俺のスカート、どこ行った?」(日本テレビ系 土曜22:00~)をウォッチした。
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ゲイで女装家の高校教師・原田のぶお(古田新太)が、あらゆる問題をぶった斬っていく学園ドラマ。ヅラ&スカート姿の古田は、もうこれだけで出オチ感のあるインパクトだ。そして、けっこう美脚。
生意気な男子高生には「恋してやろうか? この野郎」とほえ、「キモい」と笑う生徒たちには「人を馬鹿にして見下しているお前らがブス!」とバッサリ。
もしもマツコ・デラックスが高校教師になったら……? そんな思惑がうっすら匂うキャラ設定。「マツコ会議」(日本テレビ系)ならぬ「マツコ職員会議」なんじゃないか。
そもそも学園ドラマの教師って、だいたい異形のキャラクター。ヤンキーだったり(「GTO」)、ドSだったり(「女王の教室」)、極道の女だったり(「ごくせん」)。最近教室爆破して、生徒を人質に取ったヤツもいた(「3年A組─今から皆さんは、人質です─」)。教室という予定調和の密室を破壊し、ドラマを生み出すのは常に異形の教師だ。
で、今回ののぶお。見た目はデラックスなんだけど、ドラマ部分はいたってスタンダードなのだ。
屋上から飛び降りようとするいじめられっ子。産休で入院中の顧問にエールを送るチアダンス部。幼い弟妹の面倒を見るため、不登校の生徒。いつかどこかで見たような学園ドラマあるある。
教室にいないのは、ヤンキーだけ。昭和、平成と学園ドラマには欠かせなかったヤンキー。後ろから2番目の席で、学ランの下は赤いTシャツ。あのヤンキーは、令和にはもはやいない。
しかし、悩める生徒たちのため、のぶおはハイヒールで疾走し、自転車をこぎまくり、カツラを飛ばす。まさしくこれは、スカートをはいた金八先生。愛するあなたへ贈る女装。
そんなオーソドックスな熱血展開の中、なぜか破天荒なのが同僚教師・里見(白石麻衣)のセリフだ。
女装ののぶおに対して「ポコチンはどうしているんですか?」に始まり、「デカチン」「ファイティンポ!」と下ネタの連打。
なんなの、アイドルにエロワード言わせる性癖持ったスタッフでもいるの? 個人の趣味なの?
ドラマ中で、女装の教師がいてもいい「ダイバーシティー」(多様性)をうたっているけれど、ベタな下ネタの画一性が気になるわ。
※週刊朝日 2019年5月24日号