参議院選大阪選挙区の候補予定者で弁護士の亀石倫子氏のインタビューも印象的だった。「わたしなんて」と自己否定し「超意識低い系」だった過去など、未熟さや自己肯定感の低さをアピールする「私語り」。政治家のインタビューとしては異色に思うが、こういう語りこそが男性中心の政治家のイメージを変え、ハードルを低くし、女性の政治参画を促す可能性もあるのかもしれないのだろうね……というのが制作者の狙いなのかもね……と、正直に言えば、少し残念だ。市井に生きる女のリアルとしては、こういう「女」のイメージの押しつけにこそ、既に満身創痍だから。爽やかさ、美しさ、はつらつ、フレッシュ、時に挫折、ダメな私、意識低い系、でも変われる、前向きに……あちこちに溢れているそんな女性像に、十分疲弊しているのだ。そうじゃない物語が、きっと新しいのに。あなたのリアルじゃなく、社会のリアルを見つめる政治家としての言葉を、有権者は求めているのに。ふわっとしたイメージではなく、成熟した大人の女性のプロフェッショナルな言葉を聞きたい、と私は思う。

 ちなみに、共産党。パリテアピールあまりしてない分、平常心が新鮮だった。フツーに女性が半数近くいて、女性にフレッシュさを求めていない。若くても貫禄ある女性が多くて面白い。女性が普通にいる、というのはこういうことなのかもしれない。こういう感じ、各政党目指してほしい。女性の前髪、そよ風で飛ばさなくてもいい。フツーに怒り、真摯に政治を語り、軽やかなイメージよりも重みある言葉を放つ。そんなかっこいい女性候補者の姿を見せてほしい。

週刊朝日  2019年4月19日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?