作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は「女性候補者のイメージ」について。
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投票はしたいし、応援したい党はあるけれど、入れたい候補者がいない問題。選挙が近づく度に、その問題を突きつけられる。前回の都知事選もそうだった。ブロッコリーやほうれん草持って「ゆりちゃーん」と叫ぶ女性たちの熱狂が、私は羨ましかった。入れたい人がいる。それは有権者として理想の状況だ。
「候補者」はどのように選ばれるのか。元衆議院議員の井戸まさえさんによる『ドキュメント候補者たちの闘争』(岩波書店)は、「候補者」の選ばれ方、切られ方が、克明に記されている。そこに客観的な選定基準はない。理不尽が前提で、時に怒号が飛び、様々な思惑に誰もがいやおうなく巻き込まれる過程が「候補者選定」だ。
去年の5月、候補者を男女同数にする努力義務を課す理念法の、いわゆる「日本版パリテ」が施行された。風通しは少し良くなるのでは、と願ったが、統一地方選挙の道府県議選での女性候補者率は12.7%で、自民党は4.2%(たったの!!)だという。気になって各政党のホームページを見たが、自民党は確かに努力義務を果たさず、日本維新の会は、パリテ自体がないかのように、参議院選の候補予定者全員男性だった。対して立憲民主党の超努力アピール感は凄まじい。HPには女性候補者のイメージ写真(っぽい)が並んでいる。そよ風に前髪あおられ微笑む候補者、夜の街に立ち空を見上げる候補者……。