65歳以上のシニアが不安に感じていることの一つが尿漏れ。2人に1人が経験しているとされ、ひとごとではない。だが、今は対策グッズが充実しセルフケアが可能だ。“漏れ”でガマンするのはもったいない。防ぎ方や対処法を紹介しよう。
今年2月に高知龍馬マラソンに挑戦した西村かおるさん(61)。排泄(はいせつ)障害の予防や治療支援などに関わるNPO法人「日本コンチネンス協会」の会長だ。
走るときに試しにはいたのが、紙製の尿漏れ対策パンツ。薄型ではき心地が良く、介護用おむつのようなゴワゴワした感じがなくて、機能性も高い。
「フルマラソンではなかなかトイレに行けませんし、たくさんの汗で失禁したようにお尻回りが濡れてしまう。普通はゴール後に下着がびしょびしょになって気持ち悪いのですが、このパンツは尿だけでなく汗も吸ってくれて、しかも蒸れない。快適だったので、はいたまま宿泊先に戻ることができました」(西村さん)
多くのシニアの悩みの種である尿漏れ。東京都リハビリテーション病院泌尿器科の鈴木康之医師は、「この年代における原因はおしっこをためる蓄尿能力が低下するためです」と話す。
くしゃみやせき、重い荷物を持ち上げるなど、おなかに力を入れたときに起きるのが「腹圧性尿失禁」。トイレに間に合わずに漏れるのが「切迫性尿失禁」。ほかにも、排尿後に尿道に残ったものが少量漏れる「排尿後尿滴下(てきか)」もあり、頭を悩ませている男性も多いだろう。
「シニアともなれば、一度や二度は経験している。このうち病院に来るのは、不安感が強かったり、困っている度合いが高かったりする人。それ以外の人は何らかの工夫で、上手に対応されているのではないでしょうか」(鈴木さん)
対策として誰でも簡単にできるセルフケアの一つが、「尿漏れパッドの使用」だ。冬や春に製品を初めて手に取る人が多い。ユニ・チャームの渡邊仁志さんは理由をこう語る。
「風邪や花粉症でせきやくしゃみをしたときに、漏れを実感する。それが購入の動機になっているようです」