

看板学科の評価が大学のブランド力を示す時代となった。大学の顔である「至高の学科」を訪ねる。今回は法政大学・グローバル教養学科。
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受験生の人気を集める法政大だが、中でも評価が高いのがグローバル教養学科(GIS)だ。合格可能性80%の偏差値は76(駿台・ベネッセ記述模試、一般入試<A方式>)で、全学部の中で最も高い。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は「グローバル化の中核として、法政大を代表する学科になっている」と話す。
人気の背景にあるのは少人数授業と徹底した英語教育だ。
法政大は15学部、在学者数約3万人のマンモス大学だが、GISは1学年100人程度しか在籍しない。授業の平均的な受講者数は23人。小さな教室しかなく、最も多い授業でも40人程度だ。
授業はすべて英語。提出するレポートも、学期末の試験も英語だ。
大半の授業でディスカッションが取り入れられていて、学生は予習をした上での積極的な発言が求められる。GISのジョン・メルヴィン准教授によると、「準備をして授業に臨まないと決まりの悪い思いをしますね」。
参考にしたのは欧米やオーストラリア、ニュージーランドなどの大学。渡辺宥泰学部長は「海外では10人や20人のクラスが基本。授業の準備が大変で、遊ぶ時間がないという声があるが、世界の大学から見たら当たり前のことです」と、世界的な視点からどのようなレベルの教育が求められているのかを常に考えている。
カリキュラムの中心にあるのは、海外でも重視されるリベラルアーツ教育。
受講できる科目は幅広い。哲学や文学、社会学、国際関係学、経済学などがあり、複眼的な視点を習得できる。レベル別に科目が用意され、徐々に専門性を高めていく。さらには、アカデミックライティングの授業やディスカッションなどを通じて、論理的思考や思考を深める方法を学ぶ。
「リベラルアーツは学問の基礎。基礎というと『初歩』と思われるだろうが、学問の『コア(核心)』であり、訓練が必要。生涯をかけて、広く物事を知り、深めていく姿勢を身につけていきます」(渡辺氏)