「年齢で一方的に判断せず、運転が『安全』か『危険』かという点で判断してほしい。昨今の『高齢者は免許を返納すべき』という世間の空気に包まれて、返納を迫っても逆効果です」
同研究会には相談も寄せられる。関東圏の80代の父親が免許返納に応じてくれず、タイヤにチェーンをかけても切断し運転する。自分は大丈夫と“過信”しているのだという。内閣府の「運転免許証の自主返納制度等に関する世論調査」によると、約65%が自主返納の時期について「自分の身体能力の低下等を感じたとき」と答えている。
「高齢ドライバーの8割近くが自身の運転は上手だと自信を持っていて、家族に注意や心配をされると、疎外感や怒りを感じてしまう。ドライブレコーダーによる復習や専門医による診断など、客観的な判断が必要だと思います」(岩越さん)
動画はあくまで参考。美談で終わらせず、家族の運転能力を振り返るきっかけにしたい。(本誌・秦正理)
※週刊朝日 2019年4月5日号