放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「堀江貴文氏」について。
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ホリエモンこと堀江貴文。僕と同じ1972年生まれ。堀江さんの登場は衝撃だった。だって自分がフジテレビで何個も番組作ってるときにそのテレビ局を買収しようとしてるんだもん。正直、絶対に仲良くならないだろうと思っていた。刑務所に行く前に自分のラジオに来てくれたこともあったが、僕のバッドイメージは変わらなかった。だが、この2年ほど、いろんな局面で会うことが多く去年、ある企画を受けてもらった。AbemaTVで4カ月間放送になった「ドラゴン堀江」という企画である。
一言で言うと、堀江さんが東大を受験する企画。昨年、とある飲みの場で、堀江さんに「堀江さんって、もう一回東大受けたら受からないですよね?」と言うと堀江さんは「受かるよ!」と強気に言った。「いや、無理でしょ」と踏み込むと「受かるって。っていうか、自分が受かるだけじゃなく、東大受かりたい芸人さんとかに勉強教えて、受からせてやりますよ」と。それがきっかけで企画が成立してしまった。企画が動き出したのは9月ごろ。1月のセンター試験までたった4カ月しかない。そこで、東大受験に挑むチャレンジ芸能人3人(知名度は決して高くはない)に堀江さんがメソッドや精神論を教えながら、自分も勉強をちょっとずつ開始した。
チャレンジ芸能人3人は、勉強を始めてから、メンタル的にも体力的にもかなり疲弊していった。堀江さんは、ベースの仕事をしながら、ロケットの燃焼実験があったり、なんとミュージカルの仕事もあったり。そのミュージカルの仕事も最近本気でやっている和牛のお店との連動形式になっている。正直、勉強している気があんまりしない。本格的に勉強を始めたのは年末からだろう。とは言っても、仕事の合間でやる。基本、数学だけやる。その姿を見て、チームで手伝ってくれていた先生も、センター試験を前にして「無理だと思う」と言っていた。だが、センター試験。まったく勉強してなかった理科・社会が高得点。第1段階選抜を通ってしまった。そこだけで奇跡。で、2次試験。このときも数学を集中的に勉強した。結果は。不合格。その結果を見た堀江さんは、悔しそうな顔をしていた。