2011年3月11日の東日本大震災から8年。震災は、神社仏閣にも大きなダメージを与えた。
「縁結びの神」で知られる、島根県出雲市の出雲大社の宮司・千家尊祐氏は、大きな災害が起こるたびに、神社が被害を受けることに、胸を痛めてきた。
「被災に遭われたたくさんのお寺や神社は、まずは檀家さんや氏子さんの生活再建が優先しますから、建物の再建まではなかなか手がまわらない。私どもの出雲大社の神様は『縁結び』だけではなく、『蘇り』の神様でもある。各県の困った神社を蘇らせたい」(千家宮司)
どのくらいの被災神社があるのか。全国47都道府県に神社庁が置かれているが、その一つ、福島県神社庁の丹治正博・庁長はこう現状を話す。
「福島県内には神社が3035社あり、全国でも非常に神社数の多い県です。東日本大震災で(福島第1原発事故で規制された)20キロ圏内の警戒区域内に240の神社がありました。そして、いまだに帰還困難区域内に44の神社が残されています」
丹治庁長によれば、今も福島県の7%が避難区域に指定され、今年2月末段階で4万2000人の県民が避難生活を余儀なくされているという。福島県の人口は震災直前よりも16万人減り、185万人となった。
そんな状況の中、福島県の神社を民間の力で無償で再建しようという「災害被災神社再建・地域復興プロジェクト」の記者会見が3月7日、開かれた。
このプロジェクトは、大阪の不動産会社・創建グループが毎年1つの神社を無償で再建するというもの。第一弾は昨年、熊本地震で被災した熊本県阿蘇郡西原村の「白山姫神社」を、昨年11月に無償で再建した。
「私どもは大阪に本社を置く不動産会社です。最初は建設費用がタダというのは何かあるだろうと、疑って見られた。しかし、熊本の白山姫神社を再建し、そんなことはなくなった」(創建・吉村孝文会長)
熊本に続く、第2弾は、福島県双葉町で本殿が倒壊した「諏訪神社」が選ばれた。今年11月に竣工予定だ。