落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「テコ入れ」。
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大河ドラマ『いだてん』の視聴率がよくないそうです。進行がちょっと複雑だったりするので、毎週オンタイムで視聴する世代は離れてしまうかもしれません。録画で観てる層が今までの大河よりは多いんじゃないかな。
私、毎週観てます。テンションを上げたい時には「てんぐっ! てんぐっ! てんてんぐーっ!!」と奇声をあげて、ビールをがぶ飲み。家族一同から白い目で見られていますよ。俺のことは一之輔天狗と呼んどくれ。
NHKの偉い人が会見で「『テコ入れ』します」と言ってました。ネットニュースには「『チコちゃん』投入もあり得る?」なんて……。おいおい。チコちゃんを出しちゃうほどのやぶれかぶれな『テコ入れ』なら、いっそのこと金栗四三に金粉まみれでマラソンさせたり、車夫の峯田和伸さんの頭にCCDカメラつけて人力車を引かせて燃え盛る壁に突っ込んで爆破したり、天狗倶楽部のメンバーが乗った大型バスをクレーンで吊って、クイズに不正解したら熱海の海にバスごと沈めたり……こんなのどうでしょうか? 傍らでたけしさんがカブリモノして笑ってればなお言うことなし。『お笑いウルトラクイズ』世代は絶対観ます。中盤から「のん(本名・能年玲奈)ちゃん」が出るのでは……という噂もありますが本当かしら?
でも『テコ』になるのも大変なのです。私は一回『テコ』になってえらい目に遭いました。地方の某落語会。この日は某ベテラン師匠の独演会でした。主催者から「ゲストにぜひ」と私に声がかかったのが当日の2週間前。「スケジュールは空いてますけど、ずいぶん急ですね?」の問いに「ちょっと集客がかんばしくなく……一之輔さんのお力で……」と主催者。うーん、ちょっと露骨すぎやしないかい?
「○○師匠に失礼では?」とも思いましたが、まあ自分が評価されたのはまんざらでもなく「わかりました。ちょっと決まりが悪いけどうかがいます」と行ってきました。