放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。鈴木氏は「ポツンと一軒家」(テレビ朝日系)のヒットを10年に一度起きるかどうかの奇跡だと驚く。
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テレビ朝日系列で放送されている日曜夜の「ポツンと一軒家」が高視聴率を取り、話題になっている。同時間帯には日本テレビ「イッテQ!」が放送している。
子供の頃にずっと見ていたドリフの「全員集合」は裏で「オレたちひょうきん族」が始まり、抜かれ、終わっていく。日曜8時に放送していた「元気が出るテレビ!!」もフジテレビで「ダウンタウンのごっつええ感じ」が始まり、人気が移っていった。
木曜9時でみんなが大好きだった「ザ・ベストテン」もあるときからフジテレビで「とんねるずのみなさんのおかげです」が始まり、その後、終わっていく。
毎週見ていた番組でも、裏番組で面白いものが始まり、学校で流行りだすと、急に「魔法がとけた」気になる。「あれ? なんで毎週見てたんだっけ」と。一人ひとり毎週魔法がとけて、それが加速していったりする。僕が「全員集合」から「ひょうきん族」を、「ベストテン」から「みなさんのおかげ」を見るようになったときも、そんな感覚だった。でも、それがテレビである。だから「絶対」はありえないのだ。
僕が構成で参加していた「SMAP×SMAP」は月曜10時で、長らく高視聴率を獲得していた。裏番組にどんな番組が来ても負けることはなかった。このまま続くのでは?と思っていたときもあった。だが、10年目を超えたあたりで日本テレビで「しゃべくり007」が始まり、月曜夜のバランスが変わった。だが、面白いのは、裏で強い番組が出てきて抜かれたりするからこそ、こっち側も、今まで考えなかった試行錯誤をして頑張ろうとする。ただ、その頑張りが間違った方向に行ったりすると本来のファンをも離したりして、終わっていったりするのだが。