放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、グランバー東京ラスクの「東京ラスク」。
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“差し入れ”とは別に、芸能界には“おみやげ”や“引き菓子”として重宝されているモノがある。
たとえば、多くの記者やリポーターを招くコンサートのいわゆる“取材日”や、大きな記者会見の際に用意されるモノだ。
先日、某人気歌手のデビュー記念のコンサートにレコード会社が用意していたのが、お昼用の「まい泉」のカツサンドと、「東京ラスク」のおみやげだった。
麻布十番に本店を構え、「大丸東京店」「東京ソラマチ店」「有楽町イトシア店」などの百貨店や商業施設、駅ビルなどで黒地に白抜きの“TOKYO RUSK”のロゴを見かけたことがある方も多いだろう。
さらには通販システムもしっかりしているので、お中元やお歳暮時、大量注文し、局を訪れたタレントたちに化粧箱入りのラスクを手渡すことを恒例にしているラジオ局も知っている。
お菓子には、数年おきにブームが訪れ、10年ほど前、「ラスクブーム」というのも確実にあったものだ。
パンそのものや砂糖にこだわったり、チョコでコーティングしたりと、昔ながらのラスクから大きく変貌したのが、そのブームの時。「東京ラスク」も、どんどん種類を増やし、いまでは、キャラメルベースにカリフォルニアアーモンドをちりばめた「プレミアム・アマンドラスク」や、やさしい味になるよう、低温でじっくり焼き上げ、食べやすい一口サイズにカットした和テイストの「やまとらすく」、さらには、くるみメープル、焼きショコラ、いちごミルクの種類がある「コロコロラスク」などを販売。
“差し入れ”には、枚数が多くて、個別包装も助かる詰め合わせがオススメだが、“おみやげ”には、季節ごとに工夫をしたカラフルなボックスに入った千円台から数百円台のモノが大人気。
例のコンサート会場でマスコミに配られたのは、「ショコラフラワー ブーケ」なるバレンタイン用ボックス。
ラスクは軽いので、大きな機材を抱えて現場にやってくるカメラマンさんにも好評だし、社に戻って、女性スタッフらに「はい、おみやげ」と渡しても喜ばれることは確実だ。
おなじみの種類は、定番の「シュガー」、やさしい甘さの「ケベック州メープル」、「アールグレイ+ジューシーオレンジ」と、お酒のおつまみにもなる「青森県産ガーリック」。ほか、チョコでコーティングされたタイプも大人気。
安くて大容量。プチギフトから進物用までホントに助かるラスクなのである。
※週刊朝日 2019年3月1日号