■最乗寺/神奈川県南足柄市大雄町1157

神奈川・足柄の山中にある最乗寺は天狗の寺として知られる。長い階段を上った先の御真殿内には天狗の像が立つ。ここに奉納されるのが下駄だ。元々は、天狗にちなんでのものだったが、左右一対の下駄には「夫婦和合」の願いが込められているという。ただし、現在は下駄の奉納は受け付けていない。

■御首神社/岐阜県大垣市荒尾町1283ー1

平将門の首が祀られているという伝説がある御首神社は、首から上の願いごとにご利益があるとして信仰されている。元々は病気平癒が中心だったが、最近はもっぱら学業成就の祈願が主流。帽子が奉納されるが、いったいなぜ? 帽子は奉納者の「生首の代わり」に納められるということだ。

■丹生酒殿神社鎌八幡宮/和歌山県かつらぎ町三谷631

縁切りを祈願して木に鎌を打つ寺社はほかにもあるが、この丹生酒殿神社の鎌八幡宮は鎌を打っただけでは願いが成就しない。鎌の刃が幹の成長とともに木にのみ込まれて初めて願いが叶うという。だから、夫の愛人とか会社の上司といった急を要する縁切りには不向きなのだ。無病息災などの願いごとが多いという。

■橋場のばんば/福島県檜枝岐村居平

奥会津の秘境、鎮守神社へ行く道中にある縁切り・縁結びスポット。賽銭箱の後ろに控えるばんば(婆)の石像の、左側の巨大糸切りハサミは普通だが、右のハサミは錆びているうえに鎖でぐるぐる巻きにされている。つまり、左は切れる縁切り祈願、右は切れない縁結び祈願。賽銭箱の左右に奉納されるハサミも、左はごく普通だが、右はぐるぐる巻きにされている。

■豊川稲荷/愛知県豊川市豊川町1

初詣でも有名な豊川稲荷の正式名称は妙厳寺。稲荷ではあるが仏教の寺院で、最近は金運が上がるとして人気のスポットだ。この広大な境内の奥の院のさらに奥にあるのが写真の「霊狐塚」で、さまざまな表情をした千体近くの狐像が並んでいる。願いが成就した人がお礼に奉納したものだ。狐像の台座には奉納者の出身地などが刻まれている。(取材/小嶋独観・神社仏閣ライター、構成/鈴木裕也・本誌)

週刊朝日  2019年2月8日号より

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