※写真はイメージです (GettyImages)
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昭和から平成にかけて夫婦のかたちは大きく変わった (週刊朝日 2019年2月8日号より)
昭和から平成にかけて夫婦のかたちは大きく変わった (週刊朝日 2019年2月8日号より)

 人生100年時代。「おしどり夫婦」と言われなくてもいい。せっかく縁があって一緒になったのだから、そこそこには仲良く過ごしたい。長い老後を円満に乗り切るコツとは何か。事例をもとに考えてみよう。マネーセラピストの安田まゆみ氏がレポートする。

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 ファイナンシャルプランナーとして、毎日のように老後マネーの相談を受けている。これまでの総数は5千人超。最近では、熟年離婚を前提とした相談も少なくない。仲のいい夫婦、そうでない夫婦……明暗が分かれる理由はさまざま。ただ、前者には、自分たちの終活や両親の財産管理といった目的に対し、2人で一緒に対処していこうという“絆”を感じる。老後を上手に楽しんでいる様子がうかがえる。今回はそんな夫婦2組を紹介したい。

 夫は月、水、金。

 妻は火、木、金。

 東京都内在住のナオキさん(71)とキヨコさん(72)は、それぞれがパートで働く曜日をずらしている。月~木曜は、仕事のないほうが夕食作りを含む家事全般を担い、金曜は、それぞれ仕事を終えた後に合流し、外食を楽しむ。

 土曜日はデート。庭園や美術館に出かける。日曜は別々に自由行動。お互い、どう過ごすかはまったく干渉せず、それぞれ好きなように過ごす。2人が自宅にいる場合も、朝食や昼食を各人で用意し、好きな時間に好きな場所で食べるという徹底ぶりだ。

「この方式で今、本当に楽しい暮らしができていると実感しています」

 ナオキさんはそう語る。

 6~7年前まで、夫婦はそれぞれ規模の小さな会社に勤めていた。2人が相次いで定年退職したとき、退職金と貯蓄の総額は心細い額だった。年金は2人合わせて月に21万円(税金や健康保険料、介護保険料を除く手取り)。毎月の家賃を差し引くと余裕はなく、仕事を続ける必要があった。

 でも、ナオキさんは思った。フルで働き続けるのはごめんだ。働きづめだった自分へのご褒美として、少しは人生を楽しみたい──。そこで、キヨコさんにこう言った。

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