林:今聴いても非常に新鮮なんですよね。そしてまたこの歌詞が……。
ジュディ:オー・イエス!(笑)
林:「好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る」って、これって40年前の詞と思えない。アンモラルですよねぇ。すごい詞ですよ。
ジュディ:そうなのよね。作詞された阿木燿子さんのすごさだと思いましたね。最初いただいたときは「ひぇ~、これどうやって歌うんですか」って言いましたよ。そしたら阿木さんが「知らん顔して、しゃあしゃあと歌ったらいいの」って言うから、しゃあしゃあと、ず~っと歌ってます(笑)。
林:当時、ジュディさんっておじさんたちのアイドルで、ポニーテールの清純派という感じでしたから、びっくりされたんじゃないですか。
ジュディ:ガッツ石松さんに怒られました。「何なんだ、あれは」って(笑)。
林:「女がこんなことやっちゃいけねえだろ」って?
ジュディ:そうそう(笑)。
林:あれから40年たちますけど、その感じって今も変わってないですよね。女の人がもっと優位性を持って歌ってもいいと思うんですが、まだ突破できてないような気がする。
ジュディ:阿木さんはそれを私に演じてほしかったみたい。だからそのあとにいただいた曲はすべて、年下の男の人との恋とか、豪華な生活をしながらも「だけど、つまんないのよ!」みたいな歌なんですよ。それも阿木さんは「ジュディさん、何でもないように、しゃあしゃあと歌ってね」って言うんです(笑)。
林:ところで台湾と日本はどれぐらいの頻度で行き来されてるんですか。
ジュディ:東日本大震災のあとは、月に1~2回帰ってました。当時、余震がすごくてしょっちゅうケータイがピーピー鳴ってたでしょ。あれで両親とも食事が進まなくて、たった数日間ですごくやせちゃったんです。それで両親は台湾に移ったので、様子を見がてら帰っていました。
林:食べ物もあちらのほうが合いますか。
ジュディ:台湾の食べ物っておいしいんです。だから行くと太っちゃうの。「これは日本にないのよ」ってどんどん食べちゃうものですからね。だから日本に帰ってきたら、ウェートコントロール(笑)。
(構成/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2019年2月1日号より抜粋