ジャーナリストの田原総一朗氏は、強行採決された改正出入国管理法に関する驚きの“真相”を明らかにする。
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前回、自民党が改正出入国管理法を参院本会議で強行採決したことは納得できない、と記した。
衆議院の国会審議はなんと17時間15分、参議院は20時間45分である。前々回にも記したが、外国人労働者を具体的にどのように待遇するのか。給料はどのくらいにするのか。日本人並みにするとはいっても、同じ日本人でも正規従業員と非正規従業員とでは給料にも格差があり、社会保障や年金などの扱いも大きく違う。
それに、安倍晋三首相は野党の質問に対して、下から上がってきた文書を読んでいるだけであり、担当大臣は「検討している」の繰り返しなのである。野党各党は「これでは政府に白紙委任せよということではないか」と憤激している。
それにしても、自民党は重要な法の成立をなぜこれほど急いだのか。あるいは、国会で長く審議をすると、何か都合の悪いことでもあるのか。
そこで、法務省に詳しいジャーナリスト数人に、オフレコを前提に問うと、何と「法務省はこの法を成立させるのに積極的ではなかったようだ」という、思わず問い直さざるを得ない答えが返ってきた。
担当省庁である法務省が積極的ではない、というのはどういうことなのか。そういえば、12月9日放送の「激論!クロスファイア」に出演してもらった、元財務官僚で各省庁の事情に詳しい高橋洋一氏が、「入管法改正についてもっと骨格を具体的に定めるべきだと、法務省の中堅幹部たちに指摘しているのだが、なぜか拒否反応が強い」と語った。
いよいよわからなくなってきた。
そこで、この法改正に関わっている自民党議員の一人に、疑問を率直に投じた。もちろんオフレコ前提である。すると、何と法務省は入管法改正に反対なのだという。法務省は規制強化には賛成だが、元来、規制緩和には反対だというのである。