それでは、なぜ法務省が担当しているのか、と問うと、「官邸筋から強く要請されて、嫌々担当せざるを得なくなったのだ」と説明した。では、官邸筋が入管法改正をやらねばならないと考えたのはなぜか。

「それは全国あちこちの、特に中小企業の経営者たちから、深刻な人手不足で急いで外国人労働者を増強してもらわないと倒産してしまう、という悲鳴を聞かされたからです」

 現在、日本の人手不足はの手も借りたいほどに深刻で、約60万人も不足しているようだ。

「ところが、国会で審議を続けると、どうしても移民の問題になってしまう。特定技能1号、2号というのは、実質的には移民ですからね。しかし、日本会議など、大本の保守は移民には絶対反対なのですよ。だから安倍首相は『移民ではない』と繰り返し言っている。移民の問題になると困る。だから官邸筋は、国会審議をできるかぎり短くせよ、と法務省に求めていたのです」

 具体的な内容が定まっていなくて、来年の4月までに法体系が詰められるのか、と問うと、「法務省の官僚たちは、『そんなことは自分たちに責任はない。官邸筋が作るのだろう』と平然と言っている」と語った。

 しかも、自民党議員が何と、「(6日に)野党が技能実習生の69人が死亡していると発表したが、実は法務省の官僚たちが野党にリークしたのだ」と漏らした。そんなことってあるのか、と何度も問い返したが自信がありそうだった。

週刊朝日  2018年12月28日号

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