鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
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「イッテQ」の問題で謝罪した日テレ社長 (c)朝日新聞社
「イッテQ」の問題で謝罪した日テレ社長 (c)朝日新聞社

 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「ヤラセ問題」について。

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 2013年。僕がチーフで構成をしていたフジテレビの「ほこ×たて」という番組が終了した。ヤラセ発覚により。ラジコンカーと猿が対決する企画で、猿の首を釣り糸で引っ張ることでラジコンカーを追いかけているようにしていたと。ニュースで出る前に、プロデューサーから説明の電話があった。

 番組が終わると決まった日、司会をやっていたタカアンドトシのタカと会った。タカトシは何も悪くない。だが、ネットニュースでそのことが出る時、必ずタカトシの写真が使われていた。ヤラセが発覚した時に、局側は「演出過多」などと説明することが多いが、勝敗を決めることが肝の企画で、「ほこ×たて」が現場でやったことは残念ながら「ヤラセ」だと思う。現場のディレクターからしたら、おもしろくしようという気持ちでやったのだろう。だけど、この演出過多は「ヤラセ」となった。

 では、「世界の果てまでイッテQ!」はどうなのか? 自分の妻が番組に出ているから擁護するのか!?とか思われたくない。僕はただの視聴者として楽しませてもらっているが、今のテレビ番組で一番おもしろい番組だと思う。出演者・スタッフの熱い気持ち、根性があの番組を作り上げている。

 宮川大輔さんが出ていたお祭り企画。実際には存在しないお祭りを作っていたとしたら、それは今の時代はダメなことなのだろう。少なくともあの番組は海外の文化を紹介することが入り口になっているから。ただ、仮に、あのコーナーが世界の各地で「番組が提案したお祭りを開催する企画」だったとしても、おもしろさは変わらないし、がっかりする人はいないと思う。仮に番組の最後に「この番組はフィクションです」と入ったところで、芸人さんが体を張っておもしろい現象を起こしていることは事実であり、「フィクションかよー! がっかりしたよー」と言う人はいないんじゃないかと思う。

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