脳ドックで「虚血性脳貧血」と診断されました。血圧が一時的にガーッと下がるんでしょうね。脳梗塞ではないし、一過性だと言われたけれど「もう舞台はひと区切りにしよう」と判断しました。
現場に迷惑もかかるし、なにより、自分が一番のって演技をしていたときに、それが起こったのがショックだった。「いつそれが起こるか」なんて心配しながら舞台に立つのはいやだなと。5年ほどかけて舞台の仕事を減らして、昨年ちょうど70歳を前に、ひと区切りつけたんです。
――今は居酒屋めぐりや旅行、ギターに鉄道模型など、趣味に使える時間も増えた。昔から興味を持つと、とことん極めないと気が済まない。頑固でわがままだと笑う。
少しのんびりする時間も必要だなと考え出しました。残りの時間を考えると、もっと好きに生きる時間をもらっても、そう罰はあたらないと思うんです。
もちろんテレビや映像の仕事は続けていますし、それに人間はいいかげんですからね。なにか興味のわく舞台のオファーをいただいたら「やる」って言うかもしれないですけどね。
(聞き手/中村千晶)
※週刊朝日 2018年12月7日号