素の篠原さんは、とにかく明るい。インタビューのときも笑顔を絶やさず、ときにジョークも交えながら、頻繁に感謝の言葉を口にする。「これまで、人生に難題が降りかかったときは、どう乗り越えてきましたか?」という質問にも、「私が乗り越えてきた苦難なんてたかが知れています(笑)。むしろ、何か壁が立ちはだかったときは、“ラッキー! これも、将来の糧にしよう”って思うほうかもしれないです」と答え、最後に、「ごめんなさい」と付け加えた。おそらく、「期待に沿えるような苦労エピソードがなくてごめんなさい」という意味なのだろう。そんなちょっとした気遣いまでキュートだ。一方で、「昔から、将来結婚して子供ができても、絶対に家族のために仕事は犠牲にしないぞって思っていました」と、ザ・プロフェッショナルな発言をする。

「自分がやりたいのに、“家族のせいでやれない”と言い訳するのは嫌でした。逆に、家族に対して、“仕事があるから無理だよ”とも言いたくない。自分がやると決めたことは、仕事でご一緒する人にしても、家族にしても、絶対に迷惑をかけないぞ!という覚悟でやってます(笑)。もちろん、仕事をしていく上で、家族の協力は不可欠なんですけどね」

 年齢を重ねることで、「いろんな作品と出会い、お芝居がより好きになって、いろんな人と出会い、人間がより好きになった」と話す。

 その豊かな人間力は、様々な作品を通して、観る側にとっての希望になる。彼女は今、そんな場所にいる。(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2018年11月30日号

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