(c)Paul Morigi / gettyimages
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(c)2018 Midwestern Films LLC 2018
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 大学を中退し、22歳でジャーナリズムの道に入ったマイケル・ムーア。常に自国アメリカの抱える問題に文字どおり、体当たりで取り組むムーアの最新作「華氏119」は、トランプ大統領当選の悪夢とその余波をテーマにしたドキュメンタリーだ。ムーア節を聞かせてもらった。

【「華氏119」の場面写真はこちら】

*  *  *

──今回どうしてトランプ大統領の選挙とその結果についての映画を撮ろうと思ったのですか?

「僕も含め多くのアメリカ人が、彼が大統領になったことについて、強い憤りを感じていると同時に非常に落胆している。アメリカという国、ひいては世界に悪影響を及ぼすと感じた。この問題に対処しなければならないと感じ、それでこの映画を作ろうと決心した」

──制作で特に苦労した点は何ですか?

「この映画はこれまで作った映画の中で一番大変な映画だったと思う。トランプがこれから先2年も大統領でいる、ひょっとしたら6年、いやそれ以上になるかもしれない、と思うと、落ち込んだ。彼を阻止する具体的な行動をとらなければならないという使命を感じた。最も有効な対策は、トランプを無視するということではないかと思ったんだ。この映画はトランプ政権についての映画だが、映画中にトランプは20分しか出てこない。観客にトランプを2時間も見せたくないから、映画作りの方法を変えたんだ。トランプ大統領の時代とは何か。どうしてこんな事態になってしまったのか。いかにしてここから脱出すればいいのかが焦点だ」

──トランプ氏をヒットラーと比較していますね。

「ドイツ人がヒットラーにどう反応したか、アメリカ人がトランプにどう反応したか比較が重要なんだ。第2次大戦前ユダヤ人の新聞は、“ヒットラーを心配することはない。大事に至ることはないだろう”と書いた。それなのに大戦のあんな事態が起こった。だからトランプを心配することはない、万事はうまくいくというようなことを言うのは大いに間違いだと思う」

──日本とアメリカは常に非常に近い関係を保ってきました。日本の観客に、この映画をどう見てもらいたいですか。

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