日本は意外と広い。働き方ひとつ取っても、地域ごとにそれぞれの特色がある。高齢者が働きやすい、労働時間が長いところなど様々だ。都道府県ごとの「仕事の県民性」を、データをもとに見ていこう。
まずは高齢になっても働き続ける人が多いところはどこか。65歳以上で収入を得ることを目的に働いている有業者の割合を示す「有業率」を見ると、各地で大きな違いがある。
都道府県ごとに「65歳以上有業率」を見ると、最も高かったのは長野で30.4%、2位は山梨30.3%、3位は福井27.8%。3人に1人近くが65歳以上も仕事をしていることになる。
長野が最も高い理由について、「真面目な県民性が影響している」と言うのは、『出身県でわかる人の性格』の著者で出版プロデューサーの岩中祥史さん。長野はかつて脳卒中による死亡率が高かった。それを受けて、生活習慣を改める取り組みなどで、今では平均寿命がトップランクになっている。
「理にかなったことを真面目に実行する人が多いのが長野の特徴。『長く働けば元気でいられる』などと言われると、素直に受け止める人が多いのではないでしょうか」(岩中さん)
福井や山梨も平均寿命が比較的高い。元気な高齢者が多いことも、有業率を引き上げているようだ。
反対に低いほうを見ると、沖縄19.7%、北海道20.7%、兵庫、奈良20.8%など。これらの地域では、支援ネットワークが充実していたり、生活に余裕があったりすることで、高齢者は働かなくても大丈夫だという面もある。「人生100年時代」。70歳ぐらいまで働き続けるのが当たり前になりつつあるが、老後をゆっくり過ごせるという面では、先進的なのかもしれない。
サラリーマンとして働くよりも、自分で会社をつくってトップとして活躍する道もある。65歳以上の有業者のうち、自営業(個人事業主を含む)や会社の役員として働く高齢者起業家率を調べてみた。最も高いのは31%の沖縄。鹿児島27.3%、大分25%、宮崎24.5%と九州勢が続く。
沖縄が高い理由について、沖縄県産業振興公社の安慶名(あげな)貢さんはこう分析する。