元大英博物館日本部門キュレーターで日本刀の専門家・ポール・マーティン氏は「山鳥毛は海外でも知られている。40億円のレンブラントの絵に比べれば、5億円は過小評価かもしれない」という。
長船町は鎌倉時代から日本刀の産地。国宝になった刀剣は111口(ふり)あるが47口が備前刀で、「長船は日本刀の聖地」(武久市長)というが、備前長船には国宝・重文級の刀剣はひとふりもない。山鳥毛の買い取りは名刀の「里帰りプロジェクト」とされている。
5億円の資金はふるさと納税とクラウドファンディングで賄うという。瀬戸内市は特設のふるさと納税口座を設け、寄付金の30%をポイントとして納税者に返し、ポイントに応じて備前刀や包丁など特産品を選べるようにした。例えば2700万円を納税すれば刀匠大野義光氏が「山鳥毛」を模して作った太刀(800万円相当)がもらえる。ふるさと納税は企業も対象、クラウドファンディングは海外でも行う。
しかし資金調達には費用がかかる。ファンドの仲介業者に払う手数料や返礼品などの経費、所蔵する博物館の安全強化などすべて合算すると、名刀の里帰りに要する予算は11億6千万円に膨らむという。(山田厚史)
※週刊朝日オンライン限定記事
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