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座りすぎを防ぐ習慣の一例(岡浩一朗『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』(ダイヤモンド社)から)
座りすぎを防ぐ習慣の一例(岡浩一朗『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』(ダイヤモンド社)から)

 座ったままテレビを見続けると、1時間ごとに20分程度、余命が縮む──。研究者がそんな推定をしている。現役のデスクワーカーでも、座りっぱなしが原因で重大な疾患にかかる恐れがある。日本人の座っている時間は世界最長で、年をとるほど、その時間が増えるという。本稿読了後、ただちに起立せよ!

【図解】座りすぎを防ぐための習慣はこちら

 問題は働いている現役世代にとどまらない。日本人の総座位時間は高齢になるほど長くなる、という調査結果もあるのだ。

 早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授らは今年、千葉県松戸市在住の65~84歳の男女計297人に、覚醒時間の15時間に計測器をつけ、総座位時間を計測したデータを発表した。その結果、男性の平均は546分(9時間6分)、女性は483分(8時間3分)。1日7時間という日本人成人の総座位時間(前出のシドニー大学調査)より、男性は2時間以上、女性は1時間以上長かった。

 年齢層別に見ると、65~74歳より、75~84歳のほうが、総座位時間が約20分長い。BMI値(体格指数)別では、平均的な体格を示す25未満の人より、25以上の人のほうが30分以上、上回る。つまり、男性で高齢かつ肥満傾向にある人ほど、長時間座っていることになる。

 この結果も踏まえ、岡教授はこう指摘する。

「高齢者が座りすぎになる主な原因は、テレビ視聴にあります」

 NHK放送文化研究所の調査では、日本人のテレビ視聴時間は年齢が上がるほど長くなり、60代は男性4時間29分、女性4時間39分。70歳以上になると約1時間ずつ増えて、男性5時間39分、女性5時間29分。朝昼晩に1時間半~2時間ずつの視聴習慣があると、軽く超えてしまう数字だ。

 テレビは、スイッチを入れるだけで情報や映像が次々に流れ、それを受け取るだけになりやすい。そのため、かねてから脳の認知機能の低下が問題視されている。画面に釘付けになり、脳が受動的になることで、座りすぎの状態に陥りやすい。視聴に集中するほど時間が経つのが早く感じられ、気づいたら1、2時間、トイレにも行ってない、ということも少なくないだろう。

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