東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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9月19日の日本ハム戦。三回裏2死一、二塁から西武の源田が、逆転の3点右越え本塁打を放つ (c)朝日新聞社
9月19日の日本ハム戦。三回裏2死一、二塁から西武の源田が、逆転の3点右越え本塁打を放つ (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、西武の辻発彦監督のチーム作りを高く評価する。

【写真】三回裏西武2死一、二塁、逆転の3点右越え本塁打を放つ源田

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 チームスポーツの監督は、チームが今どういう戦力を抱え、いかにそれを最大化するか、ということが最大の使命である。自分がこんなチームを作りたいという信念は大事ではあるが、時にその信念と正反対の選手構成の場合もある。

 西武の辻発彦監督は、昨年の就任当初はディフェンス面から見直し、少なくとも隙のないチームを作りたいと思っていたはずだし、そう話していた。しかし、9月15日から17日のメットライフドームでの2位ソフトバンクとの直接対決3連戦を3連勝したことで示した通り、1点を守るのではなく、複数得点を取りにいく野球を展開した。すでに西武のチーム年間総得点は歴代最多。それこそ、選手のキャラクターを理解して、超攻撃野球のチームを作り上げた。

 私が西武での現役時代を含め、以前から打線は強力ではあったが、まずは投手力を中心に1点をどう取るか、そして1点をどう守るかと考えた野球であった。辻監督もチームメートとして、走攻守に隙のない野球を展開するその中心にいた。そういった野球が体に染みついているはずである。しかし、今年の西武は、ほとんどバントはいらない。2番に源田がいることで、1番の秋山の出塁率の高さを殺すことなく、中軸につなぐことができる。

 選手個々の特長を生かすための采配は簡単なようで難しい。選手の性格を把握する必要がある。技術が高いからと中軸に据えても、心が備わっていなければ、パフォーマンスは半減するからだ。劣勢の時に勝負手を打って動かすことも指揮官の大事な要素だけど、まずはチームをどう軌道に乗せるかが大事。その上で、西武の戦いを見ていると、辻監督がうまくマネジメントしていると感じるよね。このまま優勝まで突っ走ってほしいと願うし、辻監督にいろいろな話が聞けたら、このコラムで紹介したい。

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