がんとの闘病の末に75年の生涯を終えた女優・樹木希林さん。夫でロック・ミュージシャンの内田裕也さん(78)が20日、所属事務所を通じてコメントを出した。
「最期は穏やかで綺麗な顔でした。啓子(樹木さんの本名) 今までありがとう。人を助け 人のために祈り 人に尽くしてきたので 天国に召されると思う。おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした」
内田さんと樹木さんは1973年に結婚したが、同居したのは2年ほどで、40年以上別居状態だった。いつかは離婚するかもと思われてきたが、独特の“夫婦関係”を維持していた。
家族葬は9月17日に都内で営まれた。喪主は長女で女優・エッセイストの内田也哉子(ややこ)さん。夫で俳優の本木雅弘さんや、孫でモデルの内田雅樂(うた)さん(UTAさん)らが見送った。内田裕也さんも火葬に立ち会ったが、ショックを受けており、亡き妻への思いは20日に文書で示した。
樹木さんは、1961年に旧芸名「悠木千帆」(ゆうきちほ)でデビューし、77年に改名。多数のテレビ番組や映画に出演し、存在感を示した。テレビドラマ「寺内貫太郎一家」(74年)で、沢田研二のポスターに向かって「ジュリィ~~」と身もだえる姿を思い浮かべる人も多い。テレビドラマ「ムー」「ムー一族」シリーズ(77~79年)で、郷ひろみとの掛け合いやデュエットも人気となった。ほかにも、ピップエレキバンやフジカラーなどのCMで知名度を上げた。
2013年の日本アカデミー賞の授賞式で、全身にがんが転移していることを告白し、衝撃を与えた。その後も闘病しながら、映画「あん」(15年)や「万引き家族」(18年)などに出演し、唯一無二のオーラを放ち続けた。
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樹木さんの最期を飾る作品のひとつが、10月13日公開予定の映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」。
エッセイストの森下典子さんが茶道教室に通った経験をつづった『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(新潮文庫)が原作。森下さんがモデルの主人公「典子」を黒木華さん、茶道教室の先生を樹木さんが演じた。出演者へお茶の指導もした森下さんは、何度も撮影現場に足を運んだ。樹木さんとの初顔合わせは、昨年の夏だったと振り返る。