その結果として「マミートラック(=仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコース)」に陥ってしまう可能性もあるそうです。

「キャリアアップにつながらない仕事しか与えられなかった場合、女性は出産を選択しなくなる、という研究報告もされました。優秀な女性の資質を社会に生かせないばかりか、少子化も加速して国力も下がる。社会全体の大きな損失です」

■育児の負担を押しつける風潮を変える

 また、時短勤務や当直免除は活動時間を減らすだけで、本質的に女性側の育児負担の偏りは変わらないとの注意も促します。

「イクメンが増えているとはいえ、男性側は基本、手伝うスタイルですよね。出産は女性にしかできないけれど、育児や家事までを一人で抱え
込む必要はないはずです。女性医師に限らず、今回の問題が、女性とその職場周辺ばかりに育児の負担を押しつける風潮を変えるきっかけになってくれれば」 

 明石医師の子どもたちも、もう高校生。手が離れてきたとはいえ、毎朝のお弁当作りなど子育ては続いています。最後に、同世代の医学部受験生に向けたメッセージを聞きました。

「将来、医師同士で結婚する人もいるでしょう。お互いが仕事の大変さを理解できるのですから、育児と家事を助け合い、夫婦で働きやすい社会に変えていってほしいですね」

(文/石川美香子)

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