人間の体が“サビる”のをご存じですか──。体内には酸化力が強い「活性酸素」があって、鉄がサビるように体の細胞や遺伝子を傷つけてしまう。老化を早め、がんや認知症、動脈硬化や高血圧など様々な病気の原因にもなる。抗酸化作用がある野菜などを上手に食べて、サビないカラダをつくろう。
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活性酸素は酸化力が非常に強く、正常な遺伝子や細胞を傷つけてしまう。老化を引き起こし、9割以上の病気に関係しているとされる。人間が呼吸で取り込む酸素のうち約2%が、活性酸素に変化すると言われている。私たちは危険な活性酸素に常にさらされているのだ。
米・ハーバード大学でがんや免疫について研究した麻布医院の高橋弘院長によると、活性酸素の害はがん、アルツハイマー型認知症、動脈硬化、肝炎、高血圧、脳卒中などさまざまな疾患につながるという。
「体内の活性酸素は外から入ってきたウイルスや細菌を殺す役割があるので、ある程度は必要です。体内には活性酸素を分解する機能がありますが、過剰に増えると処理が追いつかなくなります。活性酸素には非常に毒性が強いものもあり、遺伝子を傷つけてがんを発症・促進させます。また、悪玉コレステロールを酸化して動脈硬化を進行させ、神経細胞を傷害してアルツハイマー型認知症の原因になることもあるのです」
体内には活性酸素の被害を防ぐ解毒・分解機能が備わってはいるが、加齢とともに低下していく。女性の場合、体の酸化が顕著に表れるのは閉経後だ。
「過剰な鉄分は体内で毒性の強い活性酸素を発生させますが、月経で血中の鉄分を放出しているので、閉経前の女性は男性よりも病気になりにくい」(高橋院長)
活性酸素は常に体内で発生しているが、生活習慣や環境によってはより大量に生まれてしまう。紫外線、アルコール、ストレス、脂肪の取りすぎ、不規則な生活、食品添加物、過度なスポーツ、空気汚染、放射線、残留農薬など…といろいろな発生要因があり、全てから逃れるのは難しそうだ。