では、どうやって活性酸素に対応していけばいいのか。注目されているのが「ファイトケミカル」だ。ファイトは、「戦う(fight)」ではなくて、ギリシャ語で「植物(phyto)」を意味する。
ファイトケミカルの一種であるポリフェノールに強い抗酸化作用があり、動脈硬化を予防する効果があることを発見したのが板倉弘重氏。日本ポリフェノール学会理事長で、栄養学の研究分野では世界的に知られる。植物の力をこう説明する。
「植物は動物のように日陰や雨風をしのげる場所へ移動することができません。紫外線によって発生する活性酸素や、風雨など激しい天候の変化や外敵から身を守るために、ファイトケミカルを作り出すのです。例えばブドウは、虫に実をかじられないように、実の周りをポリフェノールが含まれる皮で覆って内部を守っています」
ポリフェノールは苦み成分で、ブドウやミカン、ピーナツの皮に豊富に含まれている。普段は捨ててしまう部分に実は抗酸化力があるのだ。
ファイトケミカルは、ほかにもいろんな野菜や果物に含まれている。苦みや渋み、辛みが強く、色合いが華やかで香りがいいものに、より豊富に含まれる傾向がある。野菜や果物を選ぶときのポイントになる。
たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素と食物繊維に続く、「第7の栄養素」とも言われるファイトケミカル。下の一覧にあるように、がんの予防など大きな健康効果が期待できる。
【ファイトケミカル9つの健康効果】
1 抗酸化作用で老化を防ぐ
2 デトックス作用で体内の毒を解毒
3 免疫バランスを整えて病気やアレルギーを防ぐ
4 発がんを予防し、がんと闘える体になる
5 血液をサラサラにして動脈硬化を予防
6 骨の老化を防ぐ
7 脳の老化を防ぎ認知症を予防
8 ダイエット効果
9 ストレスを緩和する
(高橋弘・麻布医院院長の『ハーバード大学式 最強!命の野菜スープ』から作成)
(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日 2018年8月17-24日合併号より抜粋