幕開けの「フューチャーリズム」。ガタゴトと“音頭”風のビートが鳴り響く。ピーヒャラの笛やドドンの太鼓に琴や三味線の音まで加わる。日本的情緒たっぷりのにぎやかなサウンドをハックにした自己紹介のオープニングだ。
「ダキタイム」は、パンチの利いたオケヒットによるイントロ、躍動感あふれるドラム、ギターが生み出すグルーヴに快感を覚えるテクノ・ロック。テイが歌詞を書いた日常の“タイム(時間)”の過ごし方を、バカリズムとゲストの夏帆が歌う。その合間にカップルの会話が挿入されるのだが、“ごはん、どうする?”“何か食べたいものある?”という会話の流れが、いきなり“食べたくないもの”の話になり、唐突に新潟の郷土料理“えごねり”が登場し、思わず“?”。さらに会話は続くのだが、話はかみ合わないままだ。
「サセル体操」は、汽笛の音とともにゆったりとしたリズムを刻み、牧歌的な情景を想起させる。オリエンタルな趣の旅の追憶的イメージだ。テイが語るには“インドで電車乗ってよく知らないところへおつかいに行かされちゃった、みたいな”だったのが“ラジオ体操みたいな言葉が乗ってきた(笑)”。背伸び、手足、腕まわしと、体操のしぐさを“サセル”人を食ったブラックなセリフが次々に語られる。
軽快なアンビエント・テクノ風のサウンドによる「覚えてはいけない九九」では、ナンセンスこのうえない“九九”が笑いを誘う。“さんご ななじゅうはち”という歌詞に“産後?七十八?”“しさん 六億”“資産?六億!”“しご 二十七億”“死後?二十七億?”と思い浮かべ、その意味を探るワナにはまってしまう。クワバラクワバラ。
「アニマル」は軽快なリズムをバックに、バカリズムと夏帆がカップルの会話を演じる。今度はそれぞれの“変”自慢だ。“犬膀胱”“クジラ項(うなじ)”“しまうま気質”“セミぼくろ”“ラクダ汁”といった女性のセリフに、“何それ?”という思いを覚えながら、会話に引きずられる。
「非常識クイズ」は砂原の作曲。“カップルがビーチに寝転がって話をしていて、そのうち何かが起きる、みたいな感じ~ちょっと西海岸ぽい感じの音”は、バカリズムと中田絢千によるクイズ形式による非常識な回答が正解という会話に。テイからの“正解と不正解の音を作って”というリクエストに、砂原が“『アメリカ横断ウルトラクイズ』正解音を作った”というエピソードが笑える。