
眠気を察知すると、エアコンの設定温度が自動的に下がり、目を覚まさせる。そんな新技術を、NECとダイキン工業が25日発表した。オフィスでのうたた寝や運転中の居眠りの防止に役立つ技術で、今後2年程度で実用化をめざす。
眠気を防ぐには、どんな刺激が効果的か。NECとダイキンは、温度変化、照明の明るさの変化、覚醒効果のある芳香(ローズマリー)の3種で比べて実験した。約100人の被験者に、眠くなりやすい単純作業(2桁の足し算の暗算)を約1時間続けてもらい、途中で3種の刺激を与えた。刺激によって覚醒度がどう変わるかを調べたところ、温度の変化が最も効果的だとわかった。
温度変化は、エアコンの室温設定を通常の27度から、途中で24度に下げて刺激を与え、再び27度に戻すという条件にした。照明の明るさを変えたり、香りの刺激を与えたりするときと比べ、覚醒度が大きく高まり、眠気を45分以上抑え続ける効果もわかった。急に涼しさを感じると、体温低下を防ぐために血管が収縮し、交感神経が刺激されることで、覚醒度が高まったとみられる。
眠気は、小型カメラでまぶたの動きを撮影し続けて察知する。眠くなると、まぶたが〝重く〟なって揺らいだり、左右の目で動きが異なったりするため、この兆候をとらえる。カメラで眠気を察知すると、エアコンにその情報を伝えて温度を自動的に下げることで、目覚めの効果を見込める。
両社は今年度中をめどに、より大規模な実証実験を続け、実用化をめざす。眠くなりにくい空調のオフィスをつくることで、ホワイトカラーの生産性向上などにつなげたいという。(本誌/中川透)
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